蜘蛛が一匹
蜘蛛が一匹 枯れた棕櫚の枝に 細い白糸で秩序だった網を張る 中天に架けられた その仕事場にでんと座り ひたすら獲物を待つ 偶々見かけた男の子が テントウムシを一匹網に引っ掛ける しかし蜘蛛はその戒めを解き 無言のままに飛び立たせた それから顎を引き身構えを崩さず待ち続けるも 幾日過ぎても何一つ掛からず しかし仲間からの施しも受けず 蜘蛛は去り逝く 死骸は風に吹かれて土に落ち その命の儚さ らしからぬ生き様 知られぬままに土塊へと戻り行く
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