風鈴が、微風に揺れていた。
 けれども、音はほんの少しも聞こえなかった。
 指でそっ…と弾いても、音の波は起きずにいた。

 乱暴に揺すると、漸く風鈴は身を震わせた。

 だけど、音は澄んではいなかった。
 むしり取り地面に投げ捨てた。

 割れた瞬間、ちりん、と綺麗な音がした。

 続き 帰る