「ねえ」
 声がかけられたような気のしたのは、昨日の晩に寝付かれなかった所為だったのだろうか。誰も居ないことを確認して苦笑し前を振り返ると、いつの間にやら、読みかけの本に栞が挟められていた。手に取ってみると、黒い羽が一つ、長方形のフィルムの中に閉じ込められているのだと分かった。

 次の日、
「あれ、返してちょうだいな」
 夢の中で、小生意気そうに、しかし可愛らしく眉を逆立てている少女にそう言われた。
 起きてみると、栞の代わりに丸い小石が一つ、置き去りにされていた。

 続き 帰る