ランプだけが光源となっている暗い図書館の中で、僕は埃の積もった本を書架に直しながら、軽くため息をついた。
ここに置いてある本の内容は理解しがたく、筆者は何がしたくてこのような本を出版したのだろうと疑問に思わせることだけを目的として筆を取ったのではないかと思えるほどだった。それとも僕に学が無いだけなのか。ともかく、このような図書館に足を踏み入れたのは初めてのことだった。
迷路のような通路を抜けてエントランスへ戻ると、司書の老人は相変わらず老眼鏡をかけた目をしばたたかせながら古ぼけた本に目を通していた。
「ここの本を読まれる方はどんなえらい学者なんですか?」
「誰も滅多に利用はせんよ」
随分と素っ気無い返事が返ってきた。
「そんなつまらないことに気を取られているうちは、ここの本をまともに読み通すことはまず無理さ」
「あなたは理解して読めているんですか?」
「さてね」老人は椅子に深く腰を預けると、視線を再び本に落とした。
僕は老人に借りたランプを手にすると、また迷路のような館内へ戻っていった。夜空のことを知るまで、この不可思議な空間を後にするつもりはなかった。
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