路傍に蛍草の姿を見て 藍色の奥底に浮かぶ黒い羽を見出す 僅かな命の向こうに死の陰影のあるのが世人には美しいのか 奔放な咲き方に生への渇望を重ね合わすのか 抑もこの花に死はあるのか 死は恐れの向こうに存在するまさに幻影に他ならず あるのは永遠の旅路のみではないのかと 家への短い道を歩きとおしながら考えた ――一地下階にぽつんと取り残された小さな本棚の日記より 続き 帰る