「良いですか。あなたは真実を一つずつ見付けていかなくてはならない。夜空へ渡りたいならね。夜空は真実なんですよ、たった一つ、この世の中で残っている」
 昨夜、貫頭位をまとった男から譲り受けた地図の所為なのかいつの間にか迷い込んでいた砂漠で出会ってからというもの、砂粒はくるくる回りながらよく喋っていた。
「しかし誰も、夜空にそんなものを求めてはいないと思うけれど」
「駄目です駄目駄目。この砂漠に辿り着いたほどの人間が、何を頓珍漢なことを言ってるんだか。いやまあ、確かにこれから学んでいくことではあるけれど」
 僕たちは山としか言い様のない砂丘をずっと登っていた。周りには砂以外何も見えない。昨日まで滞在していたはずの町すら。不可思議なことだったが、僕の常識はもうそういった類の矛盾に慣れ始めていた。
「全てを知っていけば、そうすればその内知りたいことに辿り着くことが出来るんです。きっと、多分ね」
 陽気そうに振舞いながらも、彼の声色には少し寂しさが混じっていた。

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