蝶の在る夜

1
 セロハン紙を通したような黄色い夜
 路地裏を歩む男の足が止まる
 蝶が人間になっていて 人間が蝶になっていた
 何だつまらない 興味を失い足早に歩き去って行った

2
 ゼンマイの間に機械仕掛けの男の子が寝そべっていた
 起きた拍子にオルゴールのゼンマイが動き出しメロディを奏でた
 出ていった扉の蝶番は壊れていた
 一頻りなってオルゴールも止んだ

3
 霧の深い夜
 蝶の羽がひとひら欠けて敷石の間へ落ちる
 その下には件の男の子が埋まっていた
 男の子は人間になれなかった
 四角四面の劇場の中を大根役者達が歩んでいく
 いつか自分たちも彼のようになることを知りながら
 彼のことは知らずに歩き去っていく

4
 ほうき星が見えたようなので男の子はお母さんと小さく叫び手を引いたが
 瞬きしている間にいなくなってしまっていた
 そこで目の前を飛んでいる蝶を追い掛け始めた ひらひら ひらひらと

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