蟻の群が手を横切り、延々と列をなしていた。
 少しだけくすぐったい感じもしたけど、気怠い感覚に捕われたまま僕には、
 一所懸命に働いている蟻たちを追い払う権利はなかった。

「猫は、何処にいるんだろうね」

 知らない、とでも言いたげに、蟻たちは黙々と歩き続けていた。
 俺達は忙しいんだ、他の奴に気遣いする余裕なんて無いよ。

 手を少しだけずらすと戸惑ったように列を乱したけど、すぐに元に戻った。
 迷わないことを、羨ましいと感じた。

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