お腹が鳴って、軽い痛みを覚えた。

「大分、腹が減ったな」

 撫でながら苦笑していると、雷のような凄まじい音が傍らで鳴り響いた。

「ごめん、腹の虫が催促しちゃっててね」

 大きな白い三日月を胸に抱いた熊が、笑っていた。

「食事に行こうと思ってるんだけど、どうだい?」

 川に出ると、紅い鮭の群に埋め尽くされていた。
 それでも意外なくらいに鮭は力強く動き、僕の手に収まろうとしない。
 僕が手こずっている間に、熊は僕の分まで鮭を捕ってくれていた。

「ほら」
「ごめん」
「良いって」

 熊はそのまま、僕は火を起こして炙って食べた。
 今さっきまで力強く泳いでいた鮭は、信じられないくらいに美味しかった。

「この鮭は何処から来てると思う?」

 知らない、と答えると、熊は快活に笑った。

「実は僕も知らないんだ」

 一頻り笑い、喋った後、僕は熊と別れた。
 茜色に染まっている雲を見て、鮭の色みたいだ、と思った。

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