彼女の腕に抱かれ、六月猫は瞼を閉じていた。
夜を思わせるような濡れた黒の体は、呼吸の度に腹部を緩やかに上下させていた。
「六月猫は、どんな夢を見ているのかな」
「知らないわ」
少し重たい調子で、彼女は答えた。
「だけど、時々意識は繋がるの。そうしたら、私の意識と会話できるわ」
「ずっと、寝てるの」
「ええ、最近は」
息をしているのを知っていなければ、
死んでるとしか思えないような表情の六月猫の背中を、彼女は軽く撫でた。
声は、少しだけ泣いているみたいだった。
「さよなら」
テーブルには、僕だけが取り残された。
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