風になると、色々な意識が頭の中を右から左へと過ぎ去っていく。
 最初の内は戸惑っていたけど、慣れると特に気にならなかった。
 自分が自分でなくなり、世界に溶け込む。今までに感じ得なかった快感が、僕を包む。

「──でも、何で僕が風になれるんだろう」

 風は答えない。ただ、僕を仲間として包み込んだ。
 誘われるまま駆けて行くと、不意に風が止んだ。
 渦巻く中心に、小さな何かが眠っていた。
 手に取ると、幽かに光っているようにも見えた。

「これは、何だろう」

 光は、今にも止まりそうなくらい弱々しく脆弱な息を吐き続けていた。

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