風はこれまでになく暴れていた。
 その声を僕は聞き取ることが出来なかった。
 初めて、風のことを恐ろしいと感じた。
 ただ、哀しいとも思っていた。

「何を、そんなに暴れているんだろう」

 二人の残していった鍵束を手に取ると、僕は適当な部屋の鍵を開けた。
 ベッドに倒れ込むと、何かいい香りのするのに気が付いた。
 香木の焚かれているのを横目に僕は瞼を閉じた。

「哀しくない色の夢を、見られるといいな」

 最後の方は言葉に出来ず、僕は眠りに落ちた。

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