街は寂れていた。
 元から、誰のためでもない街だった。
 一軒の家に入ると、一葉の写真がテーブルの上に残されていた。

「誰が写っているんだろう」

 手に取ると、僕の網膜に届き付く前に写真は灰となって消え去った。
 足下の灰を見つめると、僕は足早に家を出た。
 意味もない動悸に、心臓が握り潰されそうだった。


 続き 帰る