「今日は」
狐は大儀そうに挨拶を返すと、またごろんと横になった。
「私は、彼女に会えましたよ」
瞳を閉じたまま、狐は僕に告げた。
「いつもと同じ、哀しい話です。彼女は泣いていました、あなたのために。
愚かとも言えない哀しい連鎖でないことを、私は望んでいたのですがね」
僕の言葉を聞く前に、狐は頭を振ることで拒絶した。
言葉を呑み、僕も森を立ち去った。
森を抜けると、雲一つない空に瞳を奪われた。
「蒼い……」
まるで、空は狐のあの美しい瞳の輝きを映し出したようだった。
ねっとりとはしない濃厚な空に、僕は暫し立ち尽くした。