あんまり暇だったので、映画館に出掛けた。
スクリーンから漏れている光は、雲のようにふわりふわり浮かんでいた。黄色がかっているせいで月の光を連想した。僕は暫くそこに留まってみた。不思議なことに、さっきまで居たはずの映写技師兼もぎりの姿はなく、ただ雲の数だけが増え続けていた。綿菓子のような小さな雲も、ぽこんぽこん弾き出されていた。
手近の一つを触ってみると、マシュマロのように柔らかかった。漂ってきたカラメルを煮詰めたような甘い匂いは肺を焼いた。食べられるのかと思い掴み取ってみると、苦しそうに悶えたそれは、一つの小さな羽に変わった。どうしようか悩んだ後で、切り紙細工の羽の中に混ぜてやった。
それが幸せだったのかどうかは僕は知らない。
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